フェルマーの最終定理のよくある簡易的証明のポイント3X_その4

フェルマーの最終定理のよくある簡易的証明のポイントをご紹介しています。

 

 X^n + Y^n = Z^nで、 X,Y,Zが互いに素、n≧3が素数自然数

として矛盾を導きます。

 

この前の、

フェルマーの最終定理のよくある簡易的証明のポイント3_その3

からの続きで、最後のご説明になります。 

 

これまで 流れのポイントは、次の[1][2][3][4][5]でした。

 

[1] E=X+Y-Z と  X=A+E, Y=B+E, Z=C+E から

 ⇒ A+B=C, n|E,  n*A*B|E^n でした。  

 

[2] E'=Z+(-Y)-X と Z=C'+E', (-Y)=B'+E', X=A'+E' から

 ⇒ C'+B'=A', n|E', n*C'*B'|E'^n でした。

 

[3] E"=Z+(-X)-Yと Z=C"+E", (-X)=A"+E", Y=B"+E" から

 ⇒ C"+A"=B", n|E", n*C"*A"|E"^n でした。

 

[4] E'"=(-Z)+Y-(-X) と (-Z)=C'"+E'", Y=B'"+E'", (-X)=A'"+E'" から

 ⇒ C'"+B'"=A'", n|E'", n*C'"*B'"|E'"^n でした。

 

[5] E""=(-Z)+X-(-Y) と (-Z)=C""+E""、X=A""+E""、(-Y)=B""+E"" から

 ⇒ C""+A""=B"", n|E"", n*C""*A""|E""^n でした。

 

このように、 

 (E^n)/n, (E'^n)/n, (E"^n)/n, (E'"^n)/n, (E""^n)/n が、

それぞれ、A,B,CおよびA',B',C'およびA",B",C"および

A'",B'",C'"およびA"",B"",C""で、割り切れることから、

次のようにして、n∤X*Y*Zを導きます。

 

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※n∤X*Y*Zのご説明

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[1][2][3][4][5]より、

E=X+Y-Z
E'=Z+(-Y)-X
E"=Z+(-X)-Y

E'"=(-Z)+Y-(-X)

E""=(-Z)+X-(-Y) 


なので、

E'+E'"= { Z + (-Y) -X }+ { (-Z) + Y - (-X) }=0
E"+E""= { Z+ (-X) -Y }+ (-Z) + X - (-Y) =0

E'=-E'"
E"=-E""

E'"=E""=E

 

(-Y)=B'+E', Y=B'"+E'"より、B’=-B'"=-B
(-X)=A"+E", X=A""+E""より、A"=-A""=-A

Z=C"+E", (-Z)=C'"+E'"より、C'"=-C"=-C

 

また、

X=A+E=A'+E'
Y=B+E=B"+E"

Z=C'+E'=C+E

 

ここで、n |Eについて

mを自然数、n^m | E, n^(m+1)∤E とすると、

n^mn | E^n, n^(mn+1)∤E^n になります、

 

n | X*Y*Z とすると、 

(1) n | X なら、

[1][2]のAとA'について、

(E^n)/nがちょうどA,A'で割り切れるから、
n^(mn-1)|A, n^(mn-1)|A' より、A'-A=2Eなので、n^(mn-1)|2E

 

n≧3は素数だから、n^(mn-1)|E 

ところが、mn-1 ≧ m+1

なぜなら、n≧3は素数で、mは自然数だから、

(mn-1)-(m+1)=m(n-1)-2=m(n-3)+2(m-1)≧0

n^(m+1)∤Eなので、(mn-1) ≧ (m+1)より、

n^(mn-1)∤Eこれはn^(mn-1)|Eに矛盾します。

つまり、n∤Xとなります。
これは、n∤A', n∤Aを意味します。


(2) n | Y なら、

[1][3]のBとB"について、

(E^n)/nがちょうどB,B"で割り切れるから、
n^(mn-1)|B, n^(mn-1)|B" より、B"-B=2Eなので、n^(mn-1)|2E

同様にして、n∤Yとなります。
これは、n∤B'', n∤Bを意味します。


(3) n | Z なら、

[1][2]のCとC'について、

(E^n)/nがちょうどC,C'で割り切れるから、
n^(mn-1)|C, n^(mn-1)|C' より、C'-C=2Eなので、n^(mn-1)|2E

同様にして、n∤Zとなります。
これは、n∤C', n∤Cを意味します。

 

したがって、n∤X*Y*Z、n∤A*B*C となります。 

 

 [6] n∤X*Y*Zから A=a^n, B=b^n, C=c^nと A+B=C より  

⇒ a^n+b^n=c^n になって、 E=0と X+Y=Z から、

矛盾を導きます。

 

n∤X*Y*Z、n∤A*B*Cでした。

したがって、A,B,Cのすべての素因数pは、p≠nで、
A,B,Cは、E^nをちょうど割り切るので、
それぞれの素因数pの冪はp^mnの形をしています。

つまり、A=∏ p^mn=(∏ p^m)^n


ここで、(∏ p^m)=aとおくと、A=a^nとなります。

同様に、B=b^n, C=c^nの形にあらわされます。

さらに、A+B=Cより、a^n+b^n=c^nとなります。

 

ところが、[1]より、

n≧3は素数,
X,Y,Z,E,A,B,C,a,b,cは自然数なので、

X=A+E>A=a^n>a, Y=B+E>B=b^n>b, Z=C+E>C=c^n>cより

X>a, Y>b, Z>c, a^n+b^n=c^nとなります。 

 

X^n+Y^n=Z^n (n≧3は素数)の

Zの最小性を仮定すれば、矛盾するので、E=0となります。

n≧3は素数で、
n|E,n|E',n|E",n|E'",n|E""より、

もし、E*E'*E"*E'"*E""=0なら、

 

E=0なら、 X=A,Y=B,Z=C で、 A+B=Cより、 X+Y=Z 
E'=0なら、X=A',-Y=B',Z=C' で、A'=C'+B'より、X=Z-Y
E"=0なら、-X=A",Y=B",Z=C" で、B"=C"+A"より、Y=Z-X

E'"=0なら、-X=A'",Y=B'",-Z=C'"で、A'"=C'"+B'"より、-X=-Z+Y
E""=0ならX=A"",-Y=B"",-Z=C""で、B""=C""+A""より、-Y=-Z+X

 

いずれも、X+Y=Zになるので、

(X+Y)^n = Z^nより

X^n + Y^n +{ΣnCk*(X^k)*Y^(n-k)} = Z^n

 

X^n + Y^n = Z^nで、X,Yは自然数なので、 

{ΣnCk*(X^k)*Y^(n-k)}=0となり、矛盾します。


なので、 X^n + Y^n = Z^nで、 X,Y,Zが互いに素、n≧3が素数

自然数はありません。